Archive for 11 月 21st, 2018

【近藤鍼灸院の健康新聞】「鍼麻酔と鍼マヒ」

昔々、鍼の研究が今より活発に行われていたと思える頃、痛みに関する医学会があった。
その席上、ペインクリニック(痛みの診療)では国際的に有名なM・H整形外科教授が、「今の鍼麻酔、鍼麻酔とは烏滸がましい‼。アレは麻酔じゃ無く鍼マヒと呼ぶべきだ!!」と壇上で発言したもんだから、「多くの反鍼麻酔派の医師や鍼灸関係者達」が大挙して口々に「鍼マヒ‼ 鍼マヒ‼」とやったもんだから、それ以後の鍼麻酔の研究が壊滅的に少なく成った事実。でもね、この発言には「医学的な大きな間違いが一つ‼」ある。

例えば、原因にも因るが歯痛に対して合谷と言うツボで軽い歯痛なんぞ止めてしまい、重症でも軽減させる力がある。「痛みを 止める&欠落させる&軽減させるだけ」なら、場合に因っては「薬なんぞ必要無い」のである。そして、その痛みの取れ具合で「何処の何が原因の歯痛であるかの予測」もたつのである。此れも実際に歯科医師で無くとも、歯科領域のある程度の知識と治療経験があれば理解し説明もできる。少々オーバーに言えば、これが「私の鍼麻酔の研究原点」である。
そして、誤解してほしく無いのは、「歯の治療は、歯科医師の手に因って外科的歯科治療が絶対的に必要である‼」事。場合に因っては歯科医師に因る投薬治療も必要である筈。医師の多くが、家族なり患者の歯痛の相談を受けた場合、歯科医師の治療を勧めず鎮痛剤や抗生物質で間に合わせをする場合がある。抗生物質の長期投与は歯の表面に色素新着を起こさせる場合がある。
私が「歯の痛みに関しての話を熱心にしただけで、鍼治療・鍼麻酔で歯科治療の全部が出来ると短絡的に解釈して悪く言う人が居るのです(笑)。あくまで「歯痛に関する治療の一つを言っただけねのにね」(笑)。頭と性格が悪い証拠です(笑)
そして、「麻痺と言う現象」は簡単に言えば、「特定の神経に対し継続的な刺激を与える」か、「強大な刺激を叩き付ける」ように与えないと「麻痺と言う現象は起きない筈」である。解剖組織学的に言って、歯痛と言えば主に三叉神経が作用してるが、合谷は親指の付け根にあって三叉神経とは解剖学的に全く関係の無い場所にある。それが、経絡的には説明ができる。
それで、したり顔で鍼麻酔を貶す人に聞いてみた。「合谷と歯痛の関係を、解剖組織学的に麻痺とどう関係するのか説明してください」と聞いても、誰も答えられない。中には私を凹ませようとドヤ顔で、「鍼の刺激が脳内に行き、エンドルフィンが出て痛みが云々」と言い出すから、「その話、間違ってる‼ 鍼の刺激だけなら、合谷に刺さなくても何処に刺しても良い筈で、エンドルフィンが如何たら言うと、解剖組織学的な話では無く生理学的な話‼ 話をすり替えてはいけません‼」で、話は終わるのです。
私も面白くって、アチコチで同じ質問をしてみたが、医師は黙って逃げます。鍼灸専門の月刊誌にも、同様の「鍼麻酔は鍼マヒ云々」と書かれていたから、その原稿を送った人に月刊誌を通じて質問をしたが結局、半年以上も回答は無く、逆にその辺りの記事を読んでた人が、「自分の書いた記事に対して質問が出た以上、何らかの回答があって然り‼ 質問者に失礼だろう!!」って意見が出てました。
そして、脳脊髄液減少症の患者さんの治療で知り合ったY・Y整形外科医。冒頭のペインクリニックの高名なM・H医師の名を出し、「何処かの何かの学会で、今の鍼麻酔は鍼マヒで麻酔とは烏滸がましい‼」発言があったので、「歯痛と合谷と麻痺との関係を解剖組織学的に説明を求めても、誰からも納得のいく回答が一切無い」と言うと、どの位の時間だったろうか。ジッと私の顔を見つめていたが、「そんなの、誰にも説明はできん」と言う話。現役の若い整形外科医でも、私の質問には答が出せなかった。理論的に、私が無茶苦茶を言ってる訳では無い。真面な基礎的医学理論を組み合わせて行った簡単な質問なんです。
世界的権威と言われるM・H医師も、鍼灸師より深い医学知識を持ってる筈だが、鍼灸師に突っ込まれて返事が出来ない医学の話をしては情けない話ですね(笑)。

 

今は昔?

40年程前に現在地で独立したおり、治療中に患者さんに質問をされて答えても、今では当然の答を言っても「そうでしょうか・・・」と否定的な反応しか無かった。しかし、今では医学常識と言える色々な情報が流れてるから、完全に理解できて無くても知ってる人が増え、また情報同士が上手く繋がって無い部分を説明すると理解出来る人が多く成った事。
「先生、何でもよう知っとるね~」と、褒められてるのか、貶されてるのかなって思う時もあるが、幾ら新しい情報が出ても医学の基本常識が根底から崩される事は少ない。医学が今より未発達な時期に正論的な言い方をされてた内容が、今では真逆の答と成っている事もある。
例えば「虫垂」。この退化した意味の無いような臓器の一部は「何の働きをしてるのか」と邪魔者扱いされていたが、今では免疫系のコントロールの中枢をなす重要な臓器である事が解っている。

ベトナム戦争真っ盛りの頃、戦場で虫垂炎を発症する兵士が多発した関係で、戦場へ送り出される新兵の虫垂を摘出して送り出したと言う。ところが、何とも無い虫垂を摘出した為に、思わぬ症状で戦場から送り返される兵士が増えたと言う。何故なら、免疫をコントロールする臓器が無く成った為、衛生状態の悪い戦場で何かに感染したと思われる。その前後から虫垂炎を散らす薬の研究が進んでおり、その後、薬が完成して大量生産して思わぬ症状で困る事が無くなったと言う話。

科学は必要だが、発達するには必ずと言って戦争が絡んでいる。
ヨーロッパ車のボディが異常に丈夫なのは、ドイツのタイガー戦車のボディのお陰。敵の戦車の砲弾を弾きかえしていたと言う。戦後の日本の世界一と称される造船技術や鉄鋼技術が素晴らしいのも、車のボディが軽く丈夫なのも、戦艦大和の造船技術があったからと言う。

難しい話です。