Archive for 3 月 6th, 2019

【近藤鍼灸院の健康新聞】⑪「昔のお医者さん」

「昔のお医者さんって、診察技術に素晴しいモノを持ってました。」

こんな表現をすると、若い先生方からお叱りを受けそうだが、本来なら視診・問診・触診などを駆使して、検査なんか最後の最後、自分の診断結果が正しいかどうかを確認の為にする程度であった筈。ところが今は検査ありきで、忙しい事もあるだろうから仕方が無いにしても、検査の為の診察すらしないから、全く的外れの検査をして、「何処も悪くありません」と言う医師の何と多い事か。

私が比較的評判の良い内科に行った時も、症状がバリバリに出てるのに、間違った検査をして「異常無いから、今日はこれで良い」と帰され掛けたから、「先生、待って下さいよ。検査に異常無いったって、外からでも解る症状が此れだけ出てるんだ。最低、この症状を取らなければ可笑しだろう‼」って迫り、渋々薬が出た程。

話が違うが、本当にあった笑い話を一つ。何年か前、頭が痛いと中年の男性患者が来た。カルテを取りながら、「頭の何処が痛いですか?」「頭が痛いんです」「頭が痛いのは解るけど、頭の何処が痛いですか?」と、三回ほど繰り返した途端、「頭が痛い言うたら、頭が痛いんだよ‼」って、叱られました。「もう一つ聞いて良いですか?貴方の頭には上下前後左右が有るでしょ?」って聞いて、初めて「アッ‼」と言う顔をして、「頭の横が痛い」と言う話に成った。この時に頭の痛み方、締め付けられるように痛むのか、血管の拍動に合わせてザクザク痛むのか等々で、治療するツボが随分と代わって来るんですね。本来、薬だって同じ筈なんだが、何時の頃からか医師の多くが、同じように患者から頭が痛いって訴えられた時、多くが細かい症状に関係無く「痛み止め出しておくからね」と言う事が多い裏付けと撮りました。私も経験者だから解ります。この話、頭痛に限らないケースも多いようです。

それと、新しい診療所や病院が出来ると、自分の身体に不具合が生じた場合に、一度は受診してみる事にしています。何故なら、当院に来られた患者さんに、場合に因っては医師の診察を受けて貰う必要がある場合もあるからです。自分が受診してみるとか、現に当院に来ている患者さんの評判を聞きながら選びます。

最近の若い医師は、何かあれば即「エビデンスを‼」って言われるが、数値だけで解らない部分、医師の見立て違いで全く違う検査をすると「問題無し」の答が出ます。例えば、私を診た全ての医師は、私の甲状腺機能減退症を予想出来ず、何かの関係で検査結果が出て初めて「こんな凄い数値が出るとは思わなかった‼」と言う次第。

私の従妹の旦那が歯科医師で、ある日、酷い体調不良を起こし3カ月程経って友人の内科医に診て貰ったが異常無し。だが体調不良が続くので再び3カ月程して診て貰うと、何と「手遅れ状態の末期ガン。余命3カ月‼」と言う答えが出て、本当に3か月後に亡くなった。最初に体調不良を感じてから半年目。ガンと解ってから、従妹が内科医の父親に[さるのこしかけ]を見せて、「これ、効くだろうか?」と聞いたが、「ワシは、そんなの知らん」の一言で投与を諦めたと言う。

そして何年かして、私の末期の胃ガンが発覚。私が入院してから、女房がネットで探してくれた代替医療が効いた事から、国際手配をして続けた。後で聞いた話、神様にもお願いしたと言う。「お父さんを助けて下さい」と。すると「今回は助けてやろう」と言う言葉が聞こえ、辺りが明るくなったと言い、「お父さんは助かる‼」と確信を持ったと言う。そればかりでは無いが、お蔭で私は16年も余分に生きているんです(笑)。結局は、本人と周囲の人々のモノの考え方と努力・行動力だろう。

愛媛新聞のガン・シリーズ記事に私が写真入りで出ているが、最後に私の言葉の『自分の一番の主治医は、自分ですから』としていが、これはタイトルの「昔のお医者さん」では無く「昔からのお医者さん」ではないかと思う(笑)。

余禄だが、退院してから暫くして立ち上がったガン患者会に1年程在籍していた時に、一人の女性会員から聞いた話。妹さんが車同士の衝突事故にあい、念の為にと受けた検査で初期の肺ガンが見つかったと言う。性格的に随分と明るい妹さんだったのが、「肺ガン」と言う病名を聞いた途端、それはそれは家族でさえ見るのも声を掛けるのも憚る程の落ち込みがあったと言う。ガンに限らず何でもだが「気分の落ち込み=ストレス」は物事を悪化させる。家族ばかりか友人知人が一生懸命に「初期だから大丈夫よ‼」と励ましたが、結局、立ち直る事なく亡くなったと言う。

これも、その人の性格と言ってしまえばそれ迄だが、普段から何かあり追い詰められた時、「私はもう駄目‼」では無く、「此のままじゃあダメ‼ 何とかしなくちゃ!!」って、私は自然に考えてます。何にしたって、「自分の身の上に起こった現実は、他人事では無く自分の事なんだから、人様の手助けを受けながらでも、自分が主になって動かにゃ‼」。それが、「自分の一番の主治医は、自分 ですから」の一言に尽きると思います。