Archive for 11 月 13th, 2019

終止符

谷村新司の曲に「終止符」と言うのがある。その歌詞の一節に「あの夏の日が無かったら 楽しい日々が続いたのに」とある。歌詞の流れから言えば、本来は男女の別れ話の曲なのだが、ガンで入院したのが7月中旬過ぎ。退院したのが9月初め。おまけに余命9ヶ月と言われての退院。それこそ、家族にしたら「あの夏の日が無かったら」と思っただろうと思う。

私、俗に言う変わり者らしく、入院中は看護師ばかりか患者さん達にも意外に大事にされた。結構 遊んでくれたのね(笑)。医師・看護師からは病状から「早期に必ず死ぬ」とお見込まれていたから、余計に優しかったのかも知れない(笑)。

入院中って、胃ガンを持ってると言うだけで自由に動けるから、点滴ばかりか輸血中にもウロウロして、担当医からレッド・カードを突き付けられた事も。看護師の場合、私の医学知識があるから何か言ったら逆に何か言われそうとばかり、何も言わない。僅か、担当看護師だけが小声でモグモグと(笑)。

規則にも無頓着だから、手術後しばらくは風呂に入れないから頭が痒い。近くに居た一番若い看護師に「頭を洗いたいんじゃが、ドレーンが入ってて俯けない」と言うと、「洗ったげますよ」と洗ってくれたのだが、丁度、担当のお局さんみたいな看護師に見つかり、「気の毒だから代わります」って言ったけど、若い看護師が「もう終わるから良いですよ」と、最後まで洗ってくれた。で、洗い終わって「気持ち良~い」って頭を拭いてると、「若い看護師で良かったね」と皮肉ったから、「確かに」って返すと「モウ~」って拗ねた真似したから、「モウ~は牛じゃ」と言うと、何処かへ行ってしまった(笑)

このように、周囲の心配をよそに入院生活を送ってたんですね。でも、末期ガン患者としての自覚はある。そればかり考えてると、身体に良く無い。元々、脳天気みたいな部分があるから皆さんを怒らせないように入院生活を楽しんでました。それが、「嫌われオヤジ、世に憚る」と言ってたら、本当に世に憚ってました。