【近藤鍼灸院の健康新聞】⑪「途中で復習」

【近藤鍼灸院の健康新聞】のこれまでの記事の中で、医学知識に限らず「如何に知識を持ってないと駄目なのか」が、十分お解り頂けたと思う。

過去、特に医療関連の知識に関しては「難しいから」と足を踏み入れようとしないケースが多かったように思います。ところが、健康保険が完備されるに従って多くの不定愁訴を訴える人々が増え、既存の医療機関や医師数では賄い切れず、悪く言えば手抜き診療が当たり前的なところが増えたように思います。その犠牲者の一人に私が居る(笑)。

やがて医師数が充足されると、足りないのが目に着いた歯科医師。だから多くの患者が集まり、金などの材料が個人負担が大きかった事から、「歯医者は儲かる!!」と言う無責任な言葉。当時、基本的には混合診療は認められなかったが、歯科に関しては材料の部分では随分と緩やかだった。

内情を知らない人々の、この「歯医者は儲かる!!」と言う無責任な言葉で、医科へ進める能力のある人でさえ歯科へ進み、資格を取った頃に後悔する人が多かったと言う。その一つに、街角に目に着くコンビニの数より、歯科医院の数の方が多いと言う現実。それが、鍼灸や柔道整復師の世界にまで波及している。今では「無資格者の整体」系の方が幅を利かせ、「国家資格保持者の鍼・灸・按摩マッサージ指圧・柔道整復師」より「知名度がある」と言う珍現象を招いている。

私と同年輩の歯科医師が後悔の一言。丁度、次女が大学進学の頃に、「歯医者は良い仕事だから、歯医者に成りなさい」と歯科大へ入学させたと言う。そして2年程経った頃、歯医者を取り巻く環境の悪さに気が付いて、「今では歯科大へ入れた事を後悔している」と言う話。

何故か親なり年寄りが、子供なり孫に歯科医師を勧める時、必ず「歯医者は良い仕事だから」と勧める事が多いように思う。その話で、ある家庭では大揉めに成ったと言う。ある商店の長男が、歯科医師に成った。だが生涯独身の為に、歯医者の跡継ぎが居ない。で、母親が目を付けたのが娘の子供。母親が娘に「あんたの息子を歯医者に仕立てなさい‼」と迫ったと言う。ところが娘にしたら、幼い時から親には「はい。はい」と、逆らう事無く全てを受け入れたが、流石に自分の子供にそうさせる気は無い。多額の金も要る。断ると、「お前は母親を殺す気か‼」と、凄い形相で迫ったと言う。母親の勝手さは、当時でも年間一千万円は必要と言われた学費や生活費を、全額 娘夫婦に持たせようとしたと言うから怖い。

高校時代の同級生に耳鼻咽喉科の次男坊が居た。長男は二浪の挙句、歯科大に入った。耳鼻咽喉科の父親は長男に「歯医者にしか成れんのか‼」と言ったと言う話。

ある歯科技工士は、「歯医者言うたら、跡継ぎは別として医者に成り損ねた連中が多い」と発言。その歯科技工士は親の跡継ぎだったし、長男坊が歯科技工士に成ったから、目出度し目出度しだろう。

よく聞く話だが、親の仕事の跡取りの話。上記に幾つか書いたが、本人が自ら「跡継ぎをしたい」とか「その仕事をしたい」とか言わない限り、決して強要すべきでは無いと思う。強要は人権問題である。私も親の跡継ぎをせず鍼灸の道へ進んだが、結婚してから特に親父からは私の家族に対する人権侵害以上の酷い扱いを受けていた。それれらを知人や同業者・患者さん達から受けていたし、多少、緩くなったとは言え現在でも続いてるとなったら、どう思われるだろうか。

ある30代の女性患者さん、私の父親の仕事を知らなかったからシツコク聞いた。だから要らぬ事を言わない約束で言うと、「先生、こんな所で何しよるん。お父さんが歯医者しよったんだったら、歯医者せにゃア」と言う。「だから要らぬ事を言うなって言ったろう‼。それを言うと縁が切れるぞ」「長男は親の跡継ぎだから」「まだ言ってる。本当に縁が切れるぞ‼」。 私の鍼治療が芯から気に入って来てるのに、懲りない。

「もう一つ言ってみようか?。跡継ぎを言うなら、氷屋の長男が脳外科医に成ったり、地主の長男が歯医者に成ったり、酒屋の長男が歯医者に成るってのは可笑しいじゃないか」「その人達は能力があったから」「話を逸らすな‼ 私は能力が無かったかも知れないが、跡継ぎの話は能力の有無の話では無いだろう。それに、こんな所で鍼なんかしよらんと歯医者せなと言うが、私には歯科医師の免許が無い。だからできない。貴方も私の鍼治療が気に入って来てるのに。こんな所で鍼治療は無いもんだ‼ それに、今から歯医者の免許を取るったって、鈍った脳で入試が受かるか?何年掛るか。仮に受かっても6年間の授業についていけるか。6年間の授業料や実習費・生活費をどう工面するか、此れだけの事をクリアしないと免許なんて取れないんだよ。仮に全て現役でクリアしても、資格取れた時には60歳代。老眼が入った目で何年仕事ができる。これだけの事を解ってて話した訳?。だから余り言うと縁が切れるぞって言ったのよ」

もう一人、10歳年上の西条の同業者。私の鍼灸学校の後輩。西条で「鍼灸まつり」をした時の実行委員長をしてたが、久しぶりに会って話をする機会があった。そうすると、私の子供の話に成り、まだ大学生だった長男の話に成った時、「そうじゃ、長男坊を歯科大にやって歯医者の跡継ぎをさせると言う手がある‼」と、我ながら名案&手柄とばかり喜々とした表情で話している。で、思わず言いました。

「跡取りを欲しがっていた親父が何年も前に亡くなり、息子本人は工業系の物創りの仕事をしたいと言ってる。幾ら国立の工業大学へ行ってても、歯科大受験となると随分とシンドイと思う。それに歯科大合格まで何年掛かり、卒業までストレートで抜けてもトータルで何年掛る。その間の生活費から学費・実習費まで幾ら掛ると思う。生活費の要らない親元から通ったとしても、学費・通学費やら何やらで6年で国公立の歯科大で最低でも6,000万円程は掛る時代と聞き及んでいる。ましてや名も知れぬ二流三流の私大ともなると、2億円とか3億円とか言われている。もう我々の年に成ったら、老後の生活費の心配をしなけりゃならん。私より10歳も年上のアンタが、その辺りを解って話をした訳か?。それとも、その位の金は親が残してるとでも思ったのか?冗談でも止めて欲しいね。余り人の家庭のプライバシーを話のネタに使ったらいかんぞ」って、言ってやりました。

まだまだ話は続きます。

よく、「歯医者も医者だろ?」って言葉。残念ながら、「歯医者は歯科医師と言う免許を持った歯医者であり、医師とは違う」と言う事。私がこの質問を始めて受けたのが中三の時の同級生に聞かれた。51年前の高校受験間際の時だった。最近でも、某公共施設の80歳近くの夜間受付の男性と話をしてると、「最近の若者は事が乱れとる」と言うと、「それはそうと、歯医者も医者だろ?」と聞いたから、「歯医者は歯科医師と言う国家資格を持った人で、俗に言う歯医者であり医者ではない」と説明したが、自分が思い込んでた知識の間違いを、悪く指摘されたと思ったか、「歯医者にも医者と言う名が付いてるから、医者だろう‼」「だから、歯医者は歯医者であり医者ではない」と言っても私の言葉を受け入れようとしない。面倒臭く成り、「法律が絡む場合、『医師、若しくは歯科医師、若しくは薬剤師』と言う表記に成ってるが、それでも歯医者も医者と言い切るの?貴方は最近の若者は言葉が乱れてると言ったが、言葉が乱れてるのはアンタだよ‼ だって、法的観点からも解り易いように説明しても、私の正論を頭から否定し、間違った言葉を言い張るってのは、乱れた言葉の極致だと思う。間違いは間違いとして何故素直に直そうとしないの?」と言うと、黙ってしまった。医師・歯科医師以外の医療関係者にも解って無い人が多過ぎる。だから、歯医者も医者なら、風邪気味の人が歯医者に行って「先生、チョット風邪気味なので風邪薬を出して貰えませんか?」って会話は成り立たない筈。妊婦さんがお産の為に歯科医院へ入院して、出産をしたとかの話は聞いた事が無い。勿論、産婦人科以外の診療科でも無いのだが、医科系の診療科なら・・・難しいか(笑)あるとすれば総合病院だが、それでも産婦人科への入院だ(笑)。

と言う位、歯科では歯科範疇に事しかできないが、他の診療科では最近は難しく成ったが、標榜している専門診療科以外の簡単な症状なら対処してくれるのだ。そこが医師と歯科医師の違いである。

 

Leave a comment

Comments are closed.