「本を出さないか」と言う話。

15年と少々前、私は末期ガンに犯され余命9ヶ月とまで言われた。

丁度、娘が大学進学を果たし見送って4か月後、体調不良から受診すると結果的に末期ガン。何事にも好奇心が強い私は、闘病生活を簡単に記録しておいたのを、退院後、ワープロしか持って無かった私は整理し一冊の本形式で仕上げた。丁度、大手出版社が原稿募集をしていたので連絡し、コピーして送った。

結果は、何万分の1の確率しかない出版会議に合格。話がボチボチと進む間に200万円と言う自己資金が必要と言う事で、出版の話は頓挫した。だって、娘の進学で金を使い、私の治療で金を使い、2カ月も仕事を休んでると、金の有りがたさと虚しさを感じます。

そして治療費の支払いに関し、幾何かの財産を持ってた親と同居してた事で、満期近い定期を解約に行こうとした女房を呼び止めた母親は、「それは置いといて、入院費は貸してやるから」と言う事に成った。高額医療費で国保から殆ど戻り、生命保険から出た分で返しました。(笑) ただ、抗がん剤を使っただけ一銭も残らなかった。

その辺りまで、闘病記と言う格好でその辺りまで書いてたのと、年甲斐も無く悪戯をしてたので、看護師や仲良く成った患者ばかりか、少し医師を相手に遊んだ部分もあった。そんな関係か、末期ガンと言う鬱積しそうな重病人の割に、貧血もしていた関係で輸血をしながら入院室の廊下を散歩していて担当医に見咎められられた。

「近藤さん、そんな格好で病院中をウロウロされては困ります」「そうですか?」「そうですかでは無くて、輸血をしなけりゃならない程の重病人が、沢山の点滴袋に血液袋をスタンドにぶら下げてウロウロしては、知らない人が見たらたまげます」。と言った具合に、マアマア規則を破って大暴れしたと言った訳でも無かったので、ある部分、入院生活を楽しくエンジョイしてたから担当の看護師ばかりか別のチームの看護師に頭を洗って貰ったりして、担当看護師に「若い看護師に洗って貰って良かったわね」と皮肉られ「はい」って返事して落ち込ましたり(笑)。

規則以外に仕来りみたいなのもあるから、面倒臭くなって飄々と適当に生活してたから、周囲の人々が気を利かして声を掛けたところに用事を頼んだりするから、普通の家庭生活の延長線上の生活だったような気がする。それに一発ギャグ的に驚かしたり悪戯してたりしてたから「あのオヤジ、またやってる‼」って具合に、笑顔でガンを飛ばされたり(笑)

15年まえ原稿コピーを読んだ編集者曰、「先生、皆さんが先生の事を妖怪扱いするって言ってたけど、失礼ですが確かに妖怪の如くパワフルに生活していると思います」って事で出版会議に受かった事など話を聞いたが、自己資金に200万円が要ると言う事で話が頓挫。そして15年経って費用の安い文庫本で出さないかと話が来たが、自己資金が100万円程。やはり頓挫しました。

 

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