Archive for 5 月 15th, 2019

【笑 劇(しょうげき)】⓶

①他の項でも書いてるが、「お化けを凹ますのが得意な私」が、唯一 お化けに驚かされた話。
息子がまだ3歳位の時に、「高畠華宵」の作品などを展示している東温市の「足立の庄」という美術館形式の建屋で、テント張りのお化け屋敷をやっている。家族に「入るか?」と聞いてみたら、女親子は憎々し気な顔で「嫌‼」だと言う。ところが息子は、お化け屋敷が何であるか解らないから「入りたい‼」と言う。そこで、二人で入る事にした。

薄暗くされた部屋へ入り、暫く進むと透明のアクリル板が敷いてあり、その下の床には死人や化け物の人形がおいてある。さすが雰囲気が違うから、息子はシッカリと私の手を握っている。
そのまま進むと通路が右に回っている。落とし物でもしたのか、ポロシャツを着た田舎のオイチャンが通路を半分占領し何かを探している。暫く待ってたが待ちかねて、「済みません、小さいのを連れてるんで先に通して貰えますか?」って声を掛けた瞬間、腰を曲げて探し物をしていた人が黙って立ち上がり、私の方へパッ振り向いた。何と、顔に目&鼻&口などの付属品の付いて無い真っ白な顔‼ そうノッペラボウである‼ 不意を突かれた私は、思わず「ワッ!!、ビックリした~‼」と声が出てしまった(笑)。

今迄、お化け役や妖怪役の人達を全戦全勝で凹ませてきた私が、表現は可笑しいが初めて驚かされた現実である。面白い事に、息子は泣く事も嫌がる事も笑う事も無く、ただ黙って私の手を握っている。
その後の展開はどうなったか忘れたが、女親子の所へ行って一緒にジュースを飲みお菓子を食べながら話していると、息子がいきなり泣き出し、文句を言いかけた。「お母さんも姉ちゃんも、入って無いから入って来い‼」と何度も泣き叫ぶ。

余程 怖いのを我慢してたのだろう。緊張の糸が解けたところで皆が笑っているのに腹が立ったのだろう。女房曰く、「私等女親子は、最初っから入らないって言ったのに、あんたが入りたいって無理に入ったんでしょう。何故、私達が入らないといけないの?」って言い、話は終わった。

⓶「ゾンビの世界」。オープニングで、女性が座ってる後ろの壁から、沢山の手がバッとでてくる映画をレンタルしてきて見ていたところへ、2歳半位に成った娘が値に二階へ行こうとして通り掛かった。ついでとばかり呼ぶと私の膝に座った。

オープニングは暫く静かだが、いきない大量の腕が壁から出た。すると娘は、下を向いたまま二階へ駆け上がった。それから、内容のハッキリしないビデオが回ってる時は、私の傍に来る事は無くなった(笑)。

③親父も生きてた頃で、息子が3歳頃の話か。女房が日曜日の昼過ぎに映画を観に行こうと言いだした。タイトルは、「ジェラシック・パーク」。そう、恐竜が出てきて大暴れする話。

私達が6人連れで入り後ろの方の真ん中で座ろうとすると、側に居た一家のお母さんの、私を呼ぶ声がする。誰だろうと振り返ると、失礼だが似たデザインの眼鏡を掛けると「Dr.スランプ・アラレちゃん」にソックリの美人。笑いを堪え挨拶すると、「ご家族?」「そう。どう言う訳か、今日の観覧券は女房のオゴリ」「そうなんだ」「で、貴女もご家族で?」と聞くと、此処では書けない紹介がありました。

そして映画が始まったのだが、映画であるだけに筋書上いきなり恐竜が出てきて大暴れする訳じゃ無いから、小さい子供にとって映画の前ふりは退屈で面白く無い。息子など「帰ろう」「何処かへ行こう」と煩いのなんのって(笑)。「お前ひとりで、何処かへ行っといで」と言いながら我々夫婦は笑っている。私の両親も洋画を見てもセリフの文字は見えないし、喋っているのは英語だから解らない。それでも、映画の画面を見ながら私達四人の行動を見てると、連携の取れた3つの動画を見てるのと同じ筈(笑)。何故なら、スクリーンでは外人さんが何か解らない言葉で喋りながら何かをしている。私達夫婦は、拗ねる息子にチョッカイだしながら映画を観てるし、聞き分けの良い娘は大人しく、我々の動きを見ながら映画を観てる。観客も、色々とそれぞれのスタイルで映画をみている。だから、部屋の中に閉じこもりがちな年寄りからすれば、立体的な多画面のテレビを観ているようなモノ。跡で、熱を出さねば良いが(笑)。

我々が静かにワイワイやってると、息子が急に黙り静かに成りスクリーンに見入った。何となく音のイメージが変わった。スクリーンに映ってるコップの中の飲み物に、音に合わせて輪が走りだした。すると、何処となくド~ンド~ンとコップの輪っかの動きに合わせて大きな足音が聞こえだした。どうも、子供の耳には随分くから聞こえており、年老いた我々の耳には聞こえて無かったようだ。

足音が大きく成り、コップの波打ちが大きく成る。画面が代わると、人々が恐れ慄いている。私達夫婦は、必死で見ている息子に、「お前帰ろうとか、何処かへ行こうと言ってたのに、此処から映画をみる事は無いだろう。お前一人で帰るか何処かへ行ってこい」とチョッカイを出す。聞こえた娘は、スクリーンと弟をしっかり観て笑っている。その姿を観ていた老夫婦も笑っている。結局、誰も帰る事なく最後まで観たのです(笑)。

④「レオマワールドでの笑劇」。丁度、テレビ&ビデオの仕事もしていた頃、ある結婚式の撮影があった。待ってる間、アルバイトの巫女さんとの会話。「日曜日に此処のアルバイトで、彼氏は?」[居ないです」と言ってた女子高生と、レオマワールドで腕を組んだ彼氏と一緒の時にあったのですよ(笑)。

当時のレオマワールドは、午後4時を過ぎると入場料が半額に成る。それを利用して行く人も多く、我々もそうでした(笑)。午後4時前に成ると、切符売り場の周囲はそんな人々で一杯になる。まだ時間があるから一人でウロウロとしていると、一組のアベックがやってきた。女性の方に見覚えがある。「誰だろ。会ったのは最近じゃナ~」と思った瞬間、思い出した。彼氏が居ないと言ってた、アルバイトの巫女さん。居ないと言いながら、彼女の方が彼の腕を組み手を握っている。そして私が思い出した瞬間、彼女も思い出したのか振り返ると「ア~ッ‼」と言って立ち竦んだが時は既に遅し。全部、私は見ちゃったのです(笑)。我々の態度を見て、彼氏が心配し「誰?」って聞くと、「リーガの、ビデオのカメラマンの人」「そう」って、二人共、何処かへ行っちゃったです。私も彼女の話はしていたから問題無しだが、「広いっても、これだけのスペースじゃ。また何処かで会うぞ」と言ってた途端、本当に行く先々で会うのです(笑)。その内、帰りの移動用に乗った船に乗り込む時、「最後の此処で目の前で会ったりしてな~、アッハッハ~」と言って、船に足を掛けた途端、前に座ってた男性が会釈した。顔を見ると、彼氏さん。思わず、「ア~ヤッパリ、会った~」って皆で大笑いしたが、結局それ以後は彼女達と会う事は無かった(笑)。