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【近藤鍼灸院の健康新聞】⑰「病気は治るか?」

「先生、この病気、何時治りますか?」と、質問されるケースがある。
最近の医師は、「良く成りますよ」とは言うが「治りますよ」とは言わなく成った。何故なら、本当の意味で治ると言う事は無いから。仮に「治る」と表現された本当の意味は、「日常生活に差し障り無いところ迄は、良く成りますよ」と言う意味合い。

例えば、私の胃ガン。本当の意味で治ったと言えるのは、切除した部分の胃や切除する為に切った部分の傷跡が、手術前と同じように一切無くなった事を意味するのです。言うなれば、トカゲの尻尾。切れても、尻尾は再生される。ただ此れも、切れた所の傷跡がどうなってるか解らないが、少なくても傷跡を確認できないから治ったと称する。

「治る」と言う表現、いい加減と言えばいい加減。最近の患者さん達は色々と情報が入るから、結構 物知りであるが、それはペーパー上の事であり、突き詰めた部分、臨床経験が無い分だけ詰めに甘さがある。臨床経験が幾ら在っても、何処かに詰めの甘さがある。何十年か前に短期間勤めた診療所の院長が、よく笑いながら言ってました。「患者達、何時治るんですか?聞くが、まるでワシが悪くしたみたいに言う。自分達が悪くしといて(笑)」

この話の延長線上では無いが、私はガンに成ってヨ~ク思い知った部分がある。以前からだが、多くの医師は患者の訴える不定愁訴は、あくまで他人事である。だから、私の甲状腺機能減退症は十何年も見落とされた以上の扱いを受け、何十人の医師から「痩せたら治る‼」とバカの一つ覚えのように言われ、一時は自分の命を諦めた程。最近では、痩せてても原因不明の病的な倦怠感・疲労感が続く場合、甲状腺ホルモンの検査を行うと言うから、隔世の感がある。末期ガンの症状がバリバリに出てても、「痩せたら治る‼」と言われるのが解ってるから、それを嫌い手遅れ状態に成るまで受診しなかったのである。最後に医師に掛かった時は、市内でも有名な見立ての良い医師で、医師である義理の叔父に頼んで診て貰ったのである。大正解でした(笑)。

病気に因っては、検査で答が解らないケースがある。殆どが医師の思い込みで関係無い検査をしてるケースが多いから。私の甲状腺の病、薬剤師の友人が症状から見付けていたのだが、その話を受診した医師に言っても最後の一人を除いて、何人もの医師が一切無視したまま。この辺りが、患者の不定愁訴・病気の訴えなんて他人事だと言う次第。

「病気は、本当の意味で治らない」と言うと、「それなら、治療なんか受けないで放っておいた方が良い。金が掛からないから」と言う。

だが、話はそんな所じゃない。もっと壮絶な話、ある一人の男性がガンに成った。貧乏になり、保険証の掛け金ですら払え無い。国の指針では、「国民、誰でも保険証を持ち安心して病気治療が受けられる」ようにと国民皆保険制度を作った筈が、その男性のように生活保護も受けられず、何の補助も受けられないままに、将来の有る娘の高校進学費用に蓄えを回したから、結局、治療を受けられないまま亡くなったと言う話。それだけ、国も金次第で国民の命を犠牲にする。その辺り、以前にも書いた「人の命も金次第」の典型である。彼の窮状を知ってたのに、何もしなかった周囲の人々の怠慢であろう。

私にガンが見つかった時、まだ母親が元気で居たから金を借りれたから良いが、居なかったら娘の大学の費用、息子の高校の費用、等々も都合付けられぬから弱った筈である。「なら、病気や怪我をしなければ良かった筈」と言う人も居るが、多くの場合、誰も好き好んで病気をしたり怪我をする訳では無い。中には生活習慣病と言うのもあるが、なかなか難しい話である。「充分気を付けたからと言って、生活習慣病に成らないと言う確証が無いのである」。理屈通り、物事が進めば良いのだが難しい話。

「人の命も金次第」と言うには、もう一つ。病医院内で私のような鍼灸師が鍼治療を行えば、「混合治療」として槍玉に挙げられ、西洋医学の保険診療部分が自由診療の扱いと成る。理由は、「人の命は平等だから。金持ちだけが自由に保険外診療を受けられると言うのは可笑しい」と言うのだが、「金が無いばかりに最低の治療も受けられないと言うのは、可笑しくは無いのだろうか?」。「保険料を支払えないから」と健康保険証を取り上げ、結果的に治療を断念して亡く成る方を選ばせる。「他に方法がある」と言うが、市の対応が統一されて無いから、解るのに時間が掛かり、最悪手遅れ状態に。兎に角、行政の方法は手抜き過ぎますよ。